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第二話「チョコレートパニック(前編)」 (4)

第二話前編、終りです。なるべく近いうちに後編をアップしたいと思います。あくまで希望です(ぉぃ

それにしても、あれですね。久保テンテー視点は、とても書き辛い
言葉遣いとか言い回しとか。語尾にいつも迷ってました。大人の女性のしゃべり方とか分かんないよ!
というわけで、いつにも増して時間のかかった代物です。クロのようなノリがやはり一番書きやすいですね。

あ、そう、黒木さんですが。お気付きかと思われますが、下の名前がまだ出てません。
狙ってるとかじゃなくて、今のところ必要ないんですよね。
久保テンテーが下の名前で呼ぶのに違和感があると言いますか。「あなた」とか「彼女」とかで済んでしまって。
不意に呼ばせたくなっていきなり出てくるかもしれません。ぶっちゃけ、まだ考えてなry
そう、なので、自分の中で黒木さんを呼ぶときはクロなんですね。
よろしければ、当面、その愛称で覚えていただけたらなと思います。


追記:
軽くネタバレってるのに気付いたので、最後のコメ消しましたw





チョコレートパニック(前編)



先に起きてしまった私は、彼女が離れてくれていたので、起こさないように一人リビングに戻っていた。
学校の仕事もないし他にも特にすることがないので、コーヒーを淹れて面白くもないバラエティ番組を見ていると、眠そうな顔をした彼女がやっと起きてきた。

「んー・・・せんせぇ、おはよぉ」
「おはよう、じゃないわよ。夜なんだから」
「そっか、夜かぁ・・・・・・・・・ぁあァ!?」

力いっぱい叫んだ彼女はドタドタと窓へ駆け寄って、引き千切らんばかりの勢いでカーテンを開けた。

「あぁ、あなたの好きなドラマはまだ始まってないから大丈夫よ」
「いやっ、えっ、いや、いやいや、だって、なんで!?」

こちらを振り返った彼女は、ようやく頭の方も回転してきたのか、いやむしろ逆か、漫画のように目を回して混乱していた。
やっぱり、テレビよりこっちの方がおもしろい。

「なんでいきなり夜なの!?さっきまでお昼だったじゃん!っていうか、なんで私寝てたのっ!?」
「とにかく落ち着きなさい。お隣に迷惑でしょう?」
「だって!だってだって!せっかく・・・」

子供のように地団駄踏んだかと思うと、急に顔を曇らせた。

「せっかく、先生の家に来たのに、これじゃぁ・・・」

一人で混乱して、一人で叫びだして、一人で泣き出して。私もよく相手をしてられると思う。
普通だったら、そんな子になんて付き合ってられないのに。

「ほら、こっちに来なさい」

あぁ、でも、誰かを好きになった時点で誰しもどこか普通じゃないのかもしれない。

「もう、落ち着いた?」
「・・・ぅん」

言われたとおり私の隣にちょこんと座った彼女の方へ膝を向け、寝癖のついた髪を手櫛で梳かしながら顔を覗き込む。
相変わらず涙目だったけれど、とりあえず今の状況を呑み込むことぐらいはできそうね。

「それじゃぁ、お昼過ぎの記憶はある?」
「お昼は・・・、センセがごはん作ってくれて、のど、渇いたから、れーぞーこ開けて、お茶を飲もうと・・・」

そこまで自分で言って、「ん?」と彼女は首を傾げた。
えぇ、そう、大事なのはそこよ。

「お茶、じゃ、なくて・・・、チョコを食べちゃって・・・」
「それで?」
「それで、えと、先生が慌てて来たから、謝って、それから・・・アタマ、ぐるぐるして・・・ぇ?」

せっかく梳かしてあげた髪をまたくしゃくしゃにして記憶を掘り起こしている彼女の顔が、見る見る青ざめていった。

「わ、わわ、わた、わたくしはっ、あの、もしや、先生に何か・・・?」
「そうね、いろいろシテくれたかしら?」
「―――!!」

彼女はどうしてこう、効果音を背負うのが得意なのかしら。本当にいい反応をしてくれる。

「ごごご、ごめ、ごめな、ごめんなさ・・・」
「謝ったぐらいで、私が許すとでも?」
「ひっ・・・!」

彼女が声をあげるほど黒い笑みを浮かべる。
本当だったら、この後いろいろ利子をつけて返すところなんだけど。

「・・・まぁ、いいわ」
「うぅ・・・やっぱ・・・り?え?今、なんて・・・」

溜め息を吐いて髪をかき上げながら言うと、半べそをかいていた彼女が少しだけ希望を灯した瞳で見上げてきた。

「今回のことについては、私にも非があるし、許してあげるわ」
「非って・・・、なんで先生が?」
「あなたを酔わせようとウイスキーを多めに使ったのよ。まさか、こんなことになるなんて思わなかったけど」

予想外にもほどがある。お酒には弱いだろうと思っていたけれど、性格が変わるなんて聞いてない。
だけど、それは彼女だって同じだし、彼女の意思で行動を起こしたわけじゃないのに、叱るなんてできるわけない。

「だから、初めてのお泊りのちょっとしたイベントだと思って、今回はお相子に―――」
「や、ちょっと、全然話が見えないんですがっ」

ストップ、というように挙手をして彼女は言った。

「ウイスキー多めに使ったって・・・、なに、アレ、先生が作ったの!?」
「そうよ、不味くはなかったでしょ」
「うん!おいしかった!」
「・・・そう、ありがとう」

目一杯の笑顔でそう言われると、また作ってあげたくなるじゃない。
軽く頬を撫でると、彼女はくすぐったそうに、でも嬉しそうに手の平に顔をすり寄せた。

「でも、なんで作ってくれたの?」
「え?」
「だって、私が泊まりに来るからってチョコでもてなそうと思ったわけじゃないでしょ?」

先生、そういうタイプじゃないもん。と、また無邪気に。
なんでって、まさか。

「あなた、今日が何の日か知ってる?」
「今日?今日はー、んーと、なんだろ。てか、何日?」

私がチョコを作ってあげたという事実がそんなに嬉しいのか、にこにこしながら言った彼女に、さすがの私も言葉を失った。
本気で今日という日を忘れている女の子が居るなんて思わなかったわ。

「14日。2月14日よ」
「あー、14日かぁ。となると、13日の金曜日は昨日だからー、今日はー・・・ん?2月14日って・・・」

心底呆れながら、私はそっと耳を塞いだ。

「えぇぇえぇえぇっ!!!」
「静かにしなさい」

今が夜だと気付いたときの混乱よりも大きな声で彼女は叫んだ。
明日辺り、管理人から苦情が来るかしら。そんな私の心配を他所に、彼女は声を上げ続ける。

「なんっ、今日ってバレンタイン!?」
「そうよ」
「じゃ、じゃあっ、先生はバレンタインチョコくれたってこと!?」
「そういうこと」
「うそっ、あっ、え、だって、そんなのっ、毎年何もしないから、もらうばっかで、私なにも・・・あ!」
「どうしたの」

彼女の混乱には置いていかれようと決めた私は、至極冷静に声をかけた。

「せんせっ!チョコは!チョコどこ!」
「冷蔵庫にしまったわよ」

聞くや否や、ソファから飛び出しキッチンへ向かい、ほぼ同じ速度で帰ってきた。
その手には、例のウイスキーボンボン。

「先生!もう一回、私にチョコちょうだい!」

頭を下げながら私にチョコの入った箱を差し出す。

「私っ、なんも考えないで食べちゃったから!も一回、今度は先生からちゃんともらいたいの!」
「それは別にいいけど・・・」

改めて受け取ったところで味なんて変わらないだろうけど、彼女が望んでるなら、それくらいは。
箱を受け取り、何故か緊張した面持ちで正座をする恋人へ差し出した。

「はい、どうぞ」
「あ、ありがとう」

手渡された表情が、あまりに嬉しそうで。
それだけで、どんな呆れも困惑も、全部帳消しになる。

「ね、ねっ、食べてもい?」
「今日はやめておきなさい、また面倒なことになるでしょ」
「一個だけ!ね?ちゃんともらった今、食べたいの」

いいでしょ?と無意識なのか技法なのか。上目遣いをしてくる彼女に、何もせずにはいられなかった。

「・・・そう、じゃぁ、一個だけ」
「ほんとっ!?」

ぱぁっと表情を明るくした彼女の手の中のチョコに手を伸ばす。

「え?あ、あ・・・」

しかし、どこかのカップルのように食べさせてあげるでもなく、それを自分の口に含んだ。
そして、「あー・・・」と恨めしそうな声をあげる彼女に、そのままキスをした。

「んむっ・・・!?」

驚いた彼女が身を引くのに乗じて、またソファに押し倒す。
口の中で転がしていたチョコを唾液とともに重力に従って彼女の口へ流し、チョコを口内全体に塗りたくるように舌を動かした。

「ぅあ・・・んゃぁ・・・っ」

存在を感じなくなるほどチョコが小さくなったところで、ようやく私は唇を離した。
まだキスに慣れない彼女が大きく息を吐くとチョコの匂いが漂い、それに当てられそうになる。

「ッは・・・はぁ・・・、せんせぇ、やらし・・・よ」
「あなたも、十分いやらしい顔してるわよ?」

潤んだ瞳と上気した頬は、それが想い人であるならば、狂気へと導く最大の凶器。
やっぱり、好きな人の前で普通でなんていられない。

「せん・・・葉月さん、あのね」

それでも彼女のために平常心を保とうとしている私へ、かの本人は手を伸ばしてくる。

「あのね、毎年みんなからチョコもらったりするけど」

みんなって、それは友達ってことでいいのかしら。
悪戯に聞いてみたいけれど、なんとなく今は彼女の言葉の続きが気になるので黙った。

「でも、こんなにおいしいチョコは、はじめて食べたよ」

はにかむように笑う彼女を、心底、愛おしいと思った。

「ねぇ、好きな人からもらうチョコって、すごくおいしいんだね」
「―――――・・・・・・」

年甲斐もなく鼓動を跳ねさせたりして、こっちの方が恥ずかしい。
人を掌の上で転がすのは好きだけど、転がされるのは好きじゃない。
だというのに、彼女には振り回されてばかりで。けれど、それがそれほど嫌じゃないのは、自分で思うよりずっと彼女が―――。

「・・・言わない」
「えっ?なに?なになになに?」
「なんでもないわよ」
「なーにー!いいこと言おうとしたでしょー!」
「さぁ?」
「ばかー」

小動物の如く唸る彼女へ、惚れた弱みで少し優しさを傾ける。

「なら、ひとつだけ、教えてあげる」

胸の鼓動に気付かれないように余裕をつくり、耳元に口を寄せた。


"私が普通でいられないのは、あなたに酔わされているせいよ?"


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2009年03月19日 | 保健室シリーズ | コメント 2件 | トラックバック 0件 | トップ

コメント

No title

保健室シリーズ読ませて頂きました。
サイコーです。
ツボです。
ラブラブな2人が大好きです。
二人の幸せがいっぱい伝わって来て、自分も幸せな気持ちになりました。
ありがとうございます

2009年08月15日 / ななみ #-URL【編集

返信

>ななみさん
コメントありがとうございます。
この二人、こんなにラブラブになる予定ではなかったのですが。
必要以上にいちゃいちゃしてしまって書いてる自分で照れますww
どうかこれからも、このバカップルを生温く見守ってやってください_(._.)_

2009年08月15日 / 有 #-URL【編集

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