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第二話「チョコレートパニック(後編)」 (4)

そういえば。
今回のタイトルですが、決して某苺騒動をパクったわけではないんです。
決めた後に気づいたんです。いや本当に。

思えば、内容があまり思い出せないラノベだったなぁ。アニメが衝撃的すぎて。


追記:あ、すいません、これでチョコパ最終回です(言い忘れた





チョコレートパニック(後編)



「はづき、さ・・・っ」
「呼んだ?」
「ッ!?」

実際1センチぐらい浮いたんじゃないかと思うほど身体が跳ねた。
しかし、そのあとは逆に、1ミリも動けなかった。
聞き間違いでなければ、空耳でなければ、幻聴でなければ、今、確かに声がした。
だけど、その姿を確かめられない。確かめたくない。この場にあの人が居ると、認めたくない。
だって、だってだってだって。そこに居るということは、見られていたわけで、聞かれていたわけで。
そんなことって。

「もうしないの?」

いつの間にかその声は、すぐ足元まで近付いていた。
嫌な汗を大量に流しながら、最後の一滴まで振り絞った勇気で顔をあげる。

「は、づ・・・」

寝室からか洩れた明かりに照らされる表情は、ワケ分かんないぐらい満面の笑みだった。こんなに嬉しそうな表情、私見たことない。

「ぁ、あの・・・あ・・・」

その笑顔の理由は1ミクロも理解できないけれど、もうおしまいだ。それだけは、確定だ。
こんなことして、その上見られて。もう、ダメだ。

『後悔は目に見えている。自分自身を許せなくなる。好きな人にだって嫌われる。』

―――嫌われる―――

「ごめ・・なさ・・・」

泣きそうになりながら、何に対してでもなく謝った。
すると、先生は相も変らぬ笑顔のまま、徐に私の横に膝をついた。

「なら、続き、して見せて?」
「ご・・・・・・ぇ?」

何を言っているのか、本当に分からなかった。この人は知らないうちに宇宙人になったんじゃないかとさえ思う。

「私も手伝ってあげるわ」
「え、や、ちょっ・・・!?」

下着を一気にジャージのところまで下ろされ、ずっと動けず潜り込んだままだった右手が晒される。
先生はその右手に自分の手を添えて、有無を言わさず中指を更に押し込んだ。

「んん゛―――っっ!?!!」

唐突な刺激に、攣りそうなほど足がピンっと伸びた。

「にゃ・・に・・・ッ、んで・・・」
「もう一本、大丈夫でしょう?」

私の言葉なんて聞こえていないかのように、先生は私の薬指を勝手に捩じ込む。

「んあァっ・・・!」

思わず、左手が先生の服を掴んだ。
見るとはなしに見た瞳は、獲物を捕まえた肉食獣のように鋭くて、そのくせやっぱりどこか艶を含んでいた。
この瞳に弱いこと知っているのに、どうしても追い求めてしまう。
今も、こうして吸い込まれて。肉食獣が爪を立てるまで気付かない。

「ふぁっ!やっ、まっぁ・・・!」

指を奥に押し込まれながら、突起物まで責め立てられる。
足りなかった部分が一遍に補われて、限界がすぐにやってきた。

「待っ、て・・・!やらっ・・・ゃあぁあぁっ!」

身体を一度大きく震わせて、ぐったりと力が抜けた。
服を握っていられなくなった左手をぼぉっと眺めているうちに、指が抜かれた。
その感覚に少しだけ我に返って、楽しげに私の指を舐める先生の顔を見る。

「・・・・・・―――」

見た。つもりだったけど。
なんだろう、ぼやけてよく見えないな。

「・・・はづきさん」
「なぁに?」

目元を拭う指の柔らかさに、また泣きそうになった。

「わたしの、こと、キライになった・・・?」

このとき、先生はどんな顔をしてたんだろう。

「―――嫌いな娘に、こんなことしないわよ」

キスの感触しか、覚えていられなかった。



暖房をつけた部屋の中、先生の膝枕でまどろみに漂っていた。

「結局、先生は何怒ってたの?」
「別に怒ってないわよ」
「うそだよ・・・」

自分の指と先生のそれを絡ませて弄ぶ。
なんだか、今はこうして甘えていたい気分だ。

「いつもより、ずっと意地悪だったもん」
「それは、あなたが生意気なこと言うからでしょう?」
「なんのこと?」

顔だけを上にあげると、おでこを出すように髪をあげられる。
視界が開けたところで、そんなことを言われる見当はつかないのだが。

「あなたが私に『かわいい』なんて言うのは100年早いってこと」
「・・・私がいつそんな命知らずなことを」
「本当に記憶力が悪いのね」
「おかげで赤点ギリギリの常連です」
「いっそ留年したら?私ともっと一緒に居られるわよ?」
「それシャレにならないですから」
「で、思い出した?」
「いや、まったく」
「夕飯のときよ」
「・・・・・・・・・」

ヒントをもらい、長い一日の中からその瞬間のことをなんとか井戸から汲み上げる。
夕飯時、私は炒飯を頬張りながら、一体どんな発言をしたのか。

『先生がいつもと違ってかわいいなぁって思ったことは覚えてるんだけど』

「おぉっ。って、えぇ!?」

額に当てられた手を押しのけて、勢いよく起き上がった。

「まさか、それだけであんな態度とってたのっ?」
「だったら?」
「それは、・・・ないよぉ」

一気に脱力して、また先生の膝に倒れこんだ。
倒れたくもなる。散々振り回され思い悩まされた原因が、あんな言葉一つだったなんて。

「ヒドイ、ヒドすぎる・・・」
「酷いのはどっちよ。そもそも、自分のしたことも覚えてないくせに」

珍しく拗ねた口調であることが気になって表情をうかがうと、微々たる変化だったが、まさに。
そのせいか、これに関しては、素直に謝らなければいけない気がした。

「ごめん、なさい」

先生の手を取って頬に当てる。

「ごめんね、先生」

暖房のせいだろうか。いつもはひんやりしているその手が、今は熱く感じた。

「じゃあ、一つだけ言うこと聞きなさい」
「な、なに?」

今日の流れを考えると、何を言われるか分かったもんじゃない。
けれど、聞かなければそれはそれで更なる死地へ踏み込んでしまう。
拒否権を発動するのは、とりあえず内容を確かめてからでも遅くはあるまい。たぶん。

「キスして?」
「・・・・・・ほ?」
「何?」
「それだけ・・・?」
「それだけよ」

またも脱力。今日だけで何度これを繰り返したか。
それにしても、やはりよく分からない人だ。ここにきてする命令が『キスして?』って。
変なこと要求されるよりはよっぽどいいんだけど。むしろ、ありがたく思わないといけないんだけど。
だからこそ、疑ってかかるべきだと思うんだ。

「本当に、それだけでいいの?」
「もっとサディスティックな方がいいならそれでもいいけれど」
「いえそんな滅相もございませんっ!はい!」

ソファの上で正座をして、力いっぱい敬礼のポーズをする。
危ない。自滅するところだった。
とにかく、これ以上下手な詮索はしないで速やかに任務を終わらせねば。
一瞬で終わるんだ。キスをすればそれで―――。

「ん?あれ?『して』って、私がするの?」
「そうよ。これじゃぁ、次の期末は現国も危ないわね」

唯一のギリギリではない科目が。そんなまさか。って、そうじゃない。

「そ、そっか。わたしが、するのか、うん」

どうしよう。変な汗掻いてきた。今更何を緊張しているのか。もう何度もしているのに。
いや、違うか。私からしたことは、ない。一度も。
つまりこれは、ある意味では、ファーストキスになるんだ。

「黒木さん」
「はイっ!?」

顔を上げると、先生が"早くしなさい"と促すような、誘うような目つきでこちらを見ていた。
ごくりと生唾を呑み込んで、正座のまま少し身体を寄せる。
汗を掻いた手を目一杯拭いて、ゆっくり、ゆっくり、手を伸ばす。
指先がほんの少し顔に触れ、反射的に手を引っ込め、そして頬を包む。
熱い。のは、先生の方か、私の手か。
ソファに手をかけて体重を預け、まだ遠かった距離を、腰を上げてあと10センチというところまで近付ける。
戸惑いを体現するように泳がせていた視線を、恐る恐る先生と合わせる。

―――刹那。

吸い込まれるように、あんなに遠かった5センチを飛び越えて唇を重ねた。
それこそ、刹那の間だったかもしれない。
それでも、確かな感触を唇に残して私は離れた。

「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・ふっ」
「え?」
「あはっ、はははっ」

唐突に、先生は口に手を当てて上品に笑い出した。
その様子を茫然と見ているうちに。

「ははっ、くっ・・・ふふっ」

無性に腹が立ってきた。

「んな・・・、なにさっ!何がおかしいのさっ!」
「だ、だって・・・っ」

とうとう、先生はお腹を抱え出した。おかげで、私の緊張は空の彼方へ消えてしまった。
なんでここで大爆笑なの。ちょっと失礼じゃないですか。

「も、だって、あなた」

薄っすら涙を浮かべて、ようやく笑いが治まってきた先生は私の顔を見て言った。

「本当に、顔、真っ赤なんだもの」
「っ!う、うるさいっ!」

妙に気恥ずかしくなって、正面を向いてソファに座りなおした。
なんだよ、もう。そんなのいつものことなのに。なんで改まって言うかな。

「えぇ、そっちの方がいいわ。あなたらしい」

私の髪を撫でながら、先生はとても満足そうにそう言った。
そっちってどっちだ。この宇宙人め。何言ってるか分かんないぞ。

「・・・・・・」

まあ、でも、機嫌が直ったみたいだから、いっか。
思い知った。この人に嫌われることが、どんなに怖いことか。
触れられないだけで、辛かったから。
話ができないだけで、寂しかったから。
嫌われると考えただけで、悲しかったから。
十分、思い知った。
この人のことが、どんなに。

「明日・・・、もう今日ね。何がしたい?」
「寝たい。ひたすら寝たい。死ぬほど寝たい」

夕方に寝てしまったけれど、むしろ起きた後の方が大変すぎて体力が続かない。

「あら、まだして欲しいの?」
「ばっ、違うから!普通に寝たいんですよ!睡眠を貪りたいんですっ!」

それだと、私は本当にヘンタイさんになってしまうので勘弁してください。
どうせ、分かってて言ってるんだろうけど。
―――あぁ、そうだ。

「でも、先生も一緒じゃないと、やだよ?」

ちゃんと言っておかなくちゃ。こんな時ばかりこの人は気を遣って、私を一人静かに寝かせようとするから。
もう遠くへ行ってしまわないように、先生の手をギュっと握った。

「起きるんなら、私も起こしてね?」
「・・・ばかね」

言葉とは裏腹にそれは優しい声で、しっかりと手を握り返してくれた。

「一緒に居ても、寝てたら意味ないじゃない」
「いいんだもん」
「起こしたって、起きないでしょ」
「起きるもん」
「あなた、寝相悪いし」
「わ、悪くないもん」
「寝ぼけてベッドから落ちるのに?」
「あれは・・・!」

反論しようとする口に人差し指を当てられ、咄嗟に閉ざす。

「今日は、私が離さないから、落ちられないけどね?」

悪戯っぽく覗く瞳に、顔を赤くした自分が映っていた。

「絶対、だからね」



眠りに落ちるまでの僅かな間。
一ヵ月後に、どんなお返しをしてやろうかと。
渡す相手の腕の中で、もう考えていた。


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2009年08月24日 | 保健室シリーズ | コメント 2件 | トラックバック 0件 | トップ

コメント

No title

チョコレートパニック読みました
黒木さん、可愛いです。
葉月さんの一挙一動に悩んだり喜んだり沈んだりドキドキしたりの素直な反応で
葉月さんがいぢめて(可愛がって)しまうのも納得です。

2009年08月25日 / ななめ #-URL【編集

Re: No title

>ななめさん
読んでいただき、ありがとうございます。
クロ助は、あんな落ち着きのない高校生が居ていいのかと思うほどですが。
自分でも愛着があるので、気に入ってもらえて大変うれしいです(・ω・)

2009年08月26日 / 有 #-URL【編集

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