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SS「たった一つの証」

ぎ、ギリギリセーッフ!!----===ΞΞΞ \__○ノ ズザーー!!!


ということで、またもやっつけ感丸出しのバレンタインSS投下。
ほんとは途中で飽))ν`)、;'.・


14日以内に間に合わせるため、とりあえず更新だけ。
近況報告などの詳細はまた別に書くよー(・ω・)ノシ



追記:一部、内容を変更したり、しなかったり・・・しました。セーフじゃないよっ!まったく!





何の拍子か。私が彼女に告白をして。彼女も好きだと言ってくれて。
叶うはずもないと思っていた恋が叶ったのが、ついこの間の話。
かと言って、劇的に何かが変わることもなく過ぎて行った日々。
ようやく、実感の持てるイベントがやってきた。
そう、今日は、恋人ができて初めてのバレンタインデーだ。



たった一つの証



と、意気込んで学校に来たけれど。

「トモー。はい、あたしもチョコあげるー」
「まじで!やた!」
「・・・・・・」

あぁ、はい、分かってました。去年も同じような光景を見ました。自分もその中の一人でした。
そりゃ、愛嬌人一倍あるし、友達多いし、本人も甘いモノめっちゃ好きだし。
無条件でチョコをくれるっていうなら、喜んで貰えるだけ貰うだろう。

(分かってたけどさ・・・)

少しぐらい、期待してもいいでしょう?
"私"のチョコだけ、欲しいと思ってほしかったな。

「あ、ハル!おはよう」

トモが突っ立ったままの私に気付いて、人に囲まれたままぶんぶん手を振ってきた。
こっちの気など全く知らないで、満面の笑みだ。
・・・ちっ、かわいいな。
そんな子供みたいな顔をされたら、お菓子を取り上げることなんかできないじゃん。
そうか、そうだ。子供が大人にお菓子を与えられてるだけだと思えばいいんだ。うん、よし。なんか許せる。
自分にしっかりと言い聞かせて、トモの隣の席、つまり自分の席に着いた。

「おはよ」
「見て見てー。チョコいっぱい貰ったー」
「くっ・・・!」

いきなり人の寛大な心を踏みにじってくれたな。
いや、我慢だ、がまん。
子供がお菓子貰って喜んでるだけなんだから。

「そ、よかったね」

平静を装ってカバンの中身を机に移していく。
その間にも、無邪気な子供にお菓子を与えに大人がまた一人。

「おーカップケーキ!ありがとー」
「・・・・・・」

何も聞こえない振りをして、最後の筆箱まで出し終える。
そして、カバンに残った、ラッピングのされた箱をそっと撫でた。

(いつ、渡そうかな)

おいしいと、言ってくれるかな。特別だと、思ってもらえるかな。
みんなと同じは、イヤだな。
去年までは思わなかったこと。
私、嫉妬してるんだ。ヤダな。嫌な子に、なりそうだ。
勝手に自己嫌悪に陥りそうになっているところに、引っ張りあげるような明るい声が降ってきた。

「あっ!ねぇ、ハル。今日、一緒に帰ろうね?」
「え?それは、別にいいけど・・・」

今までも、何も言わなくても一緒に帰ってたのに。
なんでわざわざ。今日に、限って―――。

「約束だよ?」

そう言って、はにかむように笑った。

「・・・うん」

頷いて、私も小さく笑んだ。
放課後になれば、きっと気持ちも晴れるだろう。



そう、思ったのだが。

「あ、トモー。チョコいるー?」
「いる!」

休み時間の度。

「ちょっと待ってて、クッキーあるから」
「待つ!」

教室移動の度。

「トモ、今平気?ケーキあるんだけど、来ない?」
「行く!」

あまつさえ、放課後にまで。
いたるところでお呼びがかかり、トモが甘い匂いに逆らえるわけもなく、誘われるままに尻尾を振るのだった。
本当に、こんな日までトモは相変わらずトモなのだ。片や、私は一日落ち着かないというのに。
いや、たぶん、トモに告白をした日からずっと落ち着かなかった。
それまでと変わらない生活は、あの日のことを夢にしようとする。
現実味を帯びない関係は、ひたすらに不安で。
だから今日も、トモが誰かから嬉しそうにチョコを受け取る度に、ざわついていた。

「・・・・・・っ」

幾度も見たその場面を思い出してしまい、胸の奥が針に刺されたように痛んで、思わず泣きそうになった。
幸い、教室にはもう誰も居ないけれど。・・・て、あぁ、もうこんな時間なのか。
HRが終わってすぐに連れ出されたのに、トモはまだ帰ってこない。ケーキ食べるのに、どれだけかかってんの。

「トモが一緒に帰ろうって、言ったんじゃん・・・」

なんで私、待たされてんの。
イライラする。ムカムカして、気持ち悪い。
椅子の上で体育座りをして身体を丸めた。
こんな気持ちになりたくないのに。今日は、ドキドキするだけで精一杯のはずだったのに。
バレインタインデーなのに。恋人同士が一緒に居る日なのに。
支度を済ませて机の上に置いたカバンから覗く箱を、指で弾いた。

(コレだけ置いて、もう帰ろうかな・・・)

そんなことが、ふと頭を過ぎったとき。
ガラッ!と大きな音をたてて教室のドアが開いた。

「ハル・・・よかった、まだ居た」

びっくりして顔を上げると、息を切らせてドアに凭れかかったトモが居た。
走ってきたのだろう。冬なのに、顔が少し赤い。

「帰ってたらどうしようかと思った」

心底安堵したような笑みを向けられて、ドキッとした。
それがなんだか無性に悔しくて、誤魔化すために慌てて席を立った。

「や、約束したんだから、しょうがないでしょっ」
「へへ、そっか」
「そっかじゃない!まったく、今まで何して―――」

教室に入ってくるトモが手にしているモノを見て、今度は、ズキンとした。

「ごめんごめん。ケーキの後、なんか後輩に捕まっちゃって」

小さめの紙袋いっぱいに、多種多様のチョコが入れられていた。
トモは照れ笑いを浮かべて、だけどやっぱり嬉しそうにそれを私に見せてみせた。
心臓が動く度、ズキン、ズキン、と音が鳴る。
嫌だ、イヤだ、いやだ。
私は、"そんなモノ"の後回しにされたの。

「またチョコ貰っちゃった。バレンタインっていい日だよねー」

そう言って顔を綻ばせ、カバンを机の上に乗せたトモの手には、今日貰ったチョコレートでいっぱいの別の紙袋。

「――――――」

それを見た途端、今日一日抑えていたものが一気に身体中を支配した。

「・・・・・・じゃ、なかった」
「でさ、ハル。チョコなんだけど・・・」
「待ってるんじゃなかった」
「え?」
「帰る」

カバンを掴んで、足早にドアへ向かう。

「えっ!?や、ちょ、ちょっ!」

私が教室を出るより早く、トモが私の腕を掴んだ。

「いや、待ってって!今チョコを」
「いらないじゃん!」

掴まれた腕を大きく振り払って、声を荒げた。
振り返ると、トモがわけも分からず目を見開いて驚いていた。

「いいじゃん、もう目一杯もらったでしょ?」

こんなことを言うために。

「私のチョコとか、いらないじゃん」

一生懸命、作ったわけじゃない。

「トモは、私のじゃなくてもいいんでしょ・・・っ」

視界が歪むほど、引き攣った醜い笑みを浮かべる。
こんなことを言いたくて、私はトモに告白したんだっけ。独り占めしたくて、付き合ったんだっけ。
違う、そんなわけない。
束縛なんてしたくないのに。みんなに優しいトモが好きなのに。みんなに好かれてるトモが好きなのに。
だけど私は、自分で思うよりずっと欲張りで。それでも心のどこかで、自分を誰より"特別"に思ってほしがってる。
好きな人に理想のまま居て欲しいと思いながら、真逆のことを相手に求めて。
私はなんて、ワガママな。

「ごめん」

そう、私は「ごめん」と言おうとした。でも、今の、私じゃない。

「・・・トモ?」

首を動かすこともできず、思い切り私を抱きしめる人の名を呼んだ。

「ごめんね、ハル」
「な・・んで、トモが謝るの・・・?」
「ハルのこと、傷付けた、から。みんなからチョコ貰うこと、そんな風に思われると思わなくて・・・」

だから、ごめん。と、トモは苦しげに謝った。
途端に、自分がどんなにワガママだったか改めて身に染みて、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

「違うよ、ちがう。トモは、何も悪くないよ・・・」
「でも、イヤだったんでしょ?他の子から貰うの」
「そうだけど、・・・そうじゃ、なくて」

正直な気持ちを言葉にしようとすると呼吸が苦しくなって、トモの服をくっと掴んだ。

「だって、トモ、嬉しそうな顔するから。すごくすごく嬉しそうに笑うから」

これ以上がないんじゃないかってぐらいに。
誰に対してもその笑顔を向けられるのはトモの好きなところだけど、そんな上限を見せつけられて、私はどうしたらいい?

「私があげたって、きっと同じように笑う。だから、トモにとって、"友達"から貰うのと"私"から貰うのは同じことなんだって思ったら・・・」

それは、泣きたくなるほど切なくて。

「そんなことないっ」
「!」

トモが私の肩を掴み、真摯な瞳で見つめてきた。
見たこともない真面目な顔に、一つ、鼓動を鳴らす。

「同じじゃないよ。だって、ハルは好きな人だから。ハルがくれるものは、なんだって特別だ」
「な・・・っ」

さらりと恥ずかしいことを言われて、一気に顔が赤くなる。
不意打ち過ぎて、心臓が飛び出しそうだ。

「でもまさか、ハルからチョコ貰えるとは、思ってなくて」
「・・・え?」

決まりが悪そうなトモの言葉に、うるさかった心臓が急速に大人しくなると同時に、思考が一瞬停止した。

「思ってなくて、っていうか。そこに考えが及ばなかったっていうか」
「け、けど、さっきチョコがどうのって・・・」
「あぁ、うん。だから、ちょっと待ってて」

そっと私を離して、「絶対に動かないでね。帰ったらダメだよ」と念押しをしてトモは素早く自分の席に向かった。
カバンに手を突っ込んだかと思えば、また素早く戻ってくる。そんなに私が帰ると疑っていたのか。

「その、ハルには、渡すことばっか考えてて」

はい、と差し出される綺麗な包装紙で包まれた箱。それが何なのかなんてことは、一目瞭然で。
しかしにわかに信じられず、受け取ることもしないで凝視した。

「うそ・・・これ、トモが?」
「と、溶かして固めただけだけど・・・」

顔を上げてトモを見ると、照れ臭そうに頬を染めて無邪気に笑っていた。

「色んな人からチョコ貰っちゃったけど、あげるのは、ハルにだけだよ」
「―――っ」

言葉を聴いた瞬間、カバンを落としてトモに抱きついた。

「おわっ!?ハルっ?」
「ホント?」
「な、何が?」
「チョコ、くれるの私だけ?」
「そう、だけど」

私だけ。たった一人。やっと、あなたの"特別"になれた。
泣きそうになるのを堪えるように、回した腕に力を込める。

「あのっ、ハルさん?く、苦しい・・・」
「うるさい」
「あれ?ま、まだ怒ってる?ごめんなさい、もうハル以外から貰いません」
「誓える?」
「え・・・あ、はい。ち、ちかいま・・・す」
「嘘。絶対無理」
「ぐ・・・」

身体を少しだけ離して、今までで一番近い距離で顔を覗き込む。
そうか、こんな風にできるのも、私だけなんだ。なんだ、私はこんなにも色んなものを持ってるんじゃないか。
私はまだ、知らないだけなのかもしれない。自分と彼女の間にしか無い物があるということを。

「いいよ。毎年、私にバレンタインチョコ作ってくれるって約束してくれるなら」

あなたが私を"特別"だと思ってくれてる証をくれるなら。

「・・・はい、約束します」

そうして私は、一番最初の証を受け取って、大事に、大事に抱えた。

「じゃあ、私はホワトデー担当ね。そしたら他の子と被らないし」
「えっと、それはいいけど・・・今日のは?」
「ホワイトデーまで食べるの我慢できるならあげるけど」
「そんなっ!」

私からの贈り物にどんな顔を見せてくれるのかは、一ヵ月後までのお楽しみだ。



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2010年02月14日 | その他SS | コメント 0件 | トラックバック 0件 | トップ

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