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第三話「嘘と嫉妬と、涙と接吻」 (1)


今日の帰りになってタイトル考えてないのを思い出して焦ったのはシーッ(`・×・)
最後のは「くちづけ」と読んだって下さい。ルビが振れたらいいんだけど・・・(´・ω・`)

ふと読み返すと、「続き書きはじめました」って言ったの去年の12月なんだね・・・。ビックリシタ
1年越しとかどんだけ。小説家のみなさんは半年に2冊は出してますよ。スゴイネー

時系列とかは相変わらず適当なので、そこにリアルは求めないでくださると嬉しいです(⊃∀`;)
何せ高校時代なんてもう遠い過去のお話なので。えへ。
まぁまぁ、今回に関しては色々お話したいこともありますが。
それはまた時間がありましたらば、後書きなどにて。。。






嘘と嫉妬と、涙と接吻



年度最後のテストが終わり、三大行事の一つである三泊四日の修学旅行を晴れて迎えていた。
三年生の卒業式を控えた三月上旬。暦の上では春といえど、日本はまだ真冬の只中。
旬ではあるのだろうけれど。

「さーーーむーーーいーーー!!」

空港から一歩外へ出て、生徒たち、主に女の子たちが一斉に騒ぎ始めた。
まぁ、この季節の北海道に来ての第一声としては当り前でしょう。

「久保センセー、寒くないの・・・っ?」

数人の女子生徒が、寒さ対策に身を寄せ合いながら肩を震わせていた。

「私だって寒いわよ?」
「すごい平気そうな顔で言わないでください・・・!」
「さては、道民だな!」
「実家は秋田よ。あぁ、その点で言えば、あなたたちよりは耐性あるかもね」
「ずるいー!」
「そんなに寒いなら、早くバスに乗りなさい」

その言葉に背中を押され、「はーい」と返事をした女子生徒たちは歩きにくそうにしながらも、固まったままバスへ向かった。
こんなに寒くてもあれだけ元気なんだから、こっちの方が羨ましくなる。
その中でも、こんな時一番騒いでそうな子を自然と探して、クラスごとのバスに向かう人山に視線を走らせた。
騒がしい団体を順に見ていくけれど、中々見つからない。
よもや、空港で逸れたわけではないかと本気で心配しだした頃に、バスに乗り込もうとするその姿を確認することができた。

「――――・・・」

しかし、何があったのか。
誰と談笑するわけでもなく、寒さに凍えている様子もなく、別人ではないかと疑うほどに"あの"彼女がいやに大人しかった。
体調でも崩したのだろうか。飛行機が苦手だとは聞いていなかったけれど、そのせいかもしれない。
残念ながら彼女とは別のバスでの移動になるから、旅館に着いてから聞いてみようと、私もバスに乗り込んだ。



一日目のクラス行動を回って、ようやく宿泊所の旅館に着いた時には、既に日が暮れていた。
旅館といっても、私たちのような学校行事などで泊まる客を対象にしているので、それほど大きいものではない。
故に、これから四日間は私たちの貸し切りとなっていた。
バスから降りて学年主任の先生の話が終わると、生徒たちは、先に旅館に送ってあった着替え等を詰め込んだバッグの山に群がった。
それもほんの一時。自分のバッグを探し出した子は同室の子たちと集まったりして、程なく散らばり始める。
今ならと、遅れてバッグを見つけて持って歩こうとする彼女の背に声をかけた。

「黒木さん」
「ぅん?え、へっ?あ、せん、せいっ?」
「?」

背後から声を掛けられたことにそんなに驚いたのか、彼女は後ずさった上に持ったばかりの重いバッグを落とした。
けれど、その表情には驚き以外の何かも混ざっているような気がする。

「な、なに?どうしたの?」

動揺しているのは明白だけど、ここではあまり長話もできない。
この態度に関係しているかは分からないけど、何よりもまず要点を聞かなくては。

「あなた、体調悪いの?」

彼女のことだからすぐに元気になるだろうと、甘く見ていた。
でも、見学中に見かける度、表面上は普通に過ごしていても明らかに調子は戻っていなかった。
心配のし過ぎかもしれない。そう思うほどに、内心、私も動揺していた。
だというのに、聞かれた当の本人といえば。

「え?・・・たい、ちょう?」

なんて、気の抜けた顔をしてくれるの。

「えっと、具合だったら、別に悪く、ないよ?」
「本当に?」
「うん」
「・・・・・・」

見る限り、我慢をしているわけでもなさそうだし。やっぱり、ただの思い過ごしだったかしら。
そう思った途端に、自分の情けなさに力が抜けてしまった。

「そう、ならいいわ」
「用は・・・それだけ?」

何か窺う様に、彼女が上目遣い気味に覗きこんでくる。

「そうだけど、あなた、何かあるの?」
「いやっ、ううん!なんでもない!」

慌てていることを隠そうともしないでバッグを拾って、「じゃあね」とよろけながら同室の子たちの方へ歩き出した背中に最後に念押しをした。

「何かあったら、ちゃんと私のところに来なさい」

ゆっくりと私を振り返った彼女は、小さく微笑んでいた。

「うん」



大広間での夕飯も終わり、明日の打ち合わせのために先生方が集まっている部屋へ向かっていた。
生徒たちは今頃、班ごとに交代で温泉に入っている頃かしら。あの子、はしゃいで転んだりしてないといいけれど。
それにしても、せっかくの温泉に彼女と入れないことは中々に悔しい。いい反応を見せてくれそうなのに。
春休み辺りにでも誘ってみようかしら。旅費ぐらい出してあげるけど、でもそれを彼女が素直に受け取るとは思えない。
そんな先走った懸念を抱いていると、階段へ続く角から、今まさに思い浮かべていた人が現れた。

「・・・・・・」

しかし、俯き加減のせいか、彼女は気付かないまま近付いてくる。
いつ気付くかと立ち止まって待ってみたけれど、やはり一向にその兆しが見えないので、ぶつかり合う直前にようやく声を掛けた。

「黒木さん?」
「!せんせっ・・・!」

首が抜けそうな勢いで顔を上げた彼女は、ロビーでの時のように手に持った荷物を落とした。

「あっ、うわ・・・っ」

慌てて屈む彼女と一緒に散らばった物を集めながら、その様子を探った。
やっぱり、何か隠している。
今の反応は、声を掛けられて驚いたわけじゃない。"私だと認識してから"、荷物を落とす程取り乱した。
こんな、普段以上にあまり話のできない状況のときに分かりやすい信号を発するのはやめてほしい。
気になりすぎて、周りを気にすることも忘れそうになる。

「ご、ごめんなさい」

立ちあがり向かい合ったけれど、彼女は顔を上げようとはしなかった。
二人きりなら無理矢理にでも白状させるところなのに。と、諦めの息を一つ吐き。

「お風呂上がり?」
「ぅん」

髪の乾き具合と、さっき散らばった着替えやお風呂セットを持っていることからそれは間違いないんだけれど。

「他の子たちは?」

班で時間をずらして入るようにしてあるから、一緒に行ったはず。
彼女の性格上、わざわざ班の子と別行動をするとは思えない。逆に、彼女が輪から弾かれるのも考え辛い。

「みんなは、まだお風呂。私は、その、のぼせそうだったから先に上がっちゃった」

そう言って、やっと顔を上げて彼女ははにかんだ。
嘘では、ないと思う。だけど、真実でもないのだろう。
まったく。帰ってから聞かなきゃいけないことはいくつあるのかしら。

「はしゃいだせいで、血の巡りが良くなりすぎたんじゃない?」
「そんなに子供じゃないもんっ」

口を尖らせながら言われても説得力の欠片もないことに気付く日が来るのはいつになるのやら。

「だったら、好き嫌いも減らしなさい。今日の夕飯、ほとんど班の子にあげてたでしょう?」
「―――・・・なんで、見てるかなぁ」

気まずそうに苦笑しながら、また彼女は顔を俯かせた。
『何でか』なんて説明は、私にだってうまくできない。視界が、勝手にあなたを捉えているのだから。

「湯冷めしないように、気を付けなさい」

誰に見られるとも分からない場所で、そんなつもりはなかったのだけど、つい手が伸びてしまった。
頬を撫ぜると同時に行動を止める命令が脳から下ったおかげで、それは一瞬の出来事で済んだ。
でも。

「うん、じゃあね」
「あ・・・」

再び顔を上げることはなく、彼女が脇を通り抜けた。
引き止める間もなかったことに少しだけ呆けて、彼女の頬に触れた指先を見つめた。
そして、そこに残った違和感に、答えを探していた。



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2010年12月16日 | 保健室シリーズ | コメント 0件 | トラックバック 0件 | トップ

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